PLAY! #私らしく山を楽しむ

PLAY No,11

#山で探る

EXPLORING

前人未到といわれていた厳しい山、劔岳。
しかし明治になって登ってみると、
頂上には、1000年以上前の修験者の錫杖が置かれていた。
いったい、いつ、誰がここに至ったのか。
そうした歴史のミステリーだけでなく、
山のなかに残されたわずかな人の痕跡から、
遠い昔の人たちの暮らしや価値観を読み取る。
探検家として歴史と文化を旅する髙橋さんに、
山を楽しむ新たな視点をうかがった。

探検家

Daisuke Takahashi髙橋大輔

山探索を
始めたきっかけ

「私は秋田県の出身なんですが、2011年の東日本大震災のあと、東北のいいところを見直そうという連載を地元の新聞で10年ほど続けさせてもらったんです。その取材のなかで、なんてことない地元の里山にも河童や天狗や隠れキリシタンといった伝説が残っていることを知りました。日常にとけこんで意識もしなかったような風景のなかに、昔の人の教えや考えが残されている。それまでは海外の伝説や大きな山の伝承を探っていたんですが、もっと身近なところにも見るべきもの、興味深いものがたくさんあることを知ったことは大きかったですね」

山探索の服装

「やはり地元の人に会う、たとえばおじいさんの古い記憶を聞かせてもらうようなことが多いんです。その話の勢いで、今から行くぞっていう先が川だったり、山だったり、おじいさんの話の先にいろんな環境が待っている。となると、汚れや水濡れが気にならないタフさが大事になります。けれど大げさな格好になると向こうも構えちゃうし、行く先が町の図書館ってこともあります。そうなると町にとけこめる、比較的おだやかなデザインのほうが使いやすかったりします。となると、さりげないけど機能はじゅうぶん、という服装が理想かもしれないですね」

  • WEAR

    雨風に強いことはもちろん、重視しているのは資料やメモ帳など、濡らしたくないものをしまっておける大型ポケットです。たとえばティフォンなどは、とても使いやすくて重宝しています。

  • INNER

    山を歩いているときは運動量が大きく、目的地では細かく調べ物をしているのでじっとしていることが多いんです。その意味で、汗冷えしにくいドライ系のインナーを愛用しています。

  • RAINWEAR

    MILLETのジャケットはたいてい、じゅうぶんな雨対策がされています。ひどい雨でなければジャケットだけで間に合ってしまう。低山ならわざわざレインウェアを用意する必要がないことも多いですね。

Field Spec

護摩堂古道
(富山県富山県中新川郡上市町)

山探索をしていて
最高だと思うこと

「都会では過去の人たちの痕跡は簡単に埋もれてしまいますが、山には時代時代の人の痕跡が残されています。そうしたなかで思いがけない発見があると、喜びは大きいです。劔岳の場合ですと、多くの人は山頂という一点をめざして登っていきます。けれどそこに至る道にもさまざまな歴史があって、劔岳を眺めながら遥拝していた人たちの足跡が残っているんです。そうした周囲の文化まで含めた立体的な広がりを捉えてはじめて、誰が山頂に錫杖をおいたのかっていう物語にたどり着くことができる。麓に広がるたくさんの情報が、まさに山頂に向かって集約していくような構造を見つけたときには、震えるような感動がありますね」

ハプニングエピソードは
ありますか?

「命に関わるようなハプニングはほとんどありません。けれど手がかりがおじいさんの記憶だったりするので、行ってみたらあるはずの石碑がないとか、重要な場所に続くはずの道が途中で途切れていた、といったことはしょっちゅうです。山探索はなにひとつ思い通りにはいかない。そう思っているくらいがちょうどいいので、そうしたハプニングとは呼べないようなハプニングならたくさんあります。山頂をめざす登山ならゴールは必ずありますが、探索の場合は答えが待っているかどうかは行ってみるまでわからないんです。でも、そうした番狂わせもまた、山探索のおもしろさだと思っています」

気をつけなければ
いけないこと

「地形や天候を調べて出かけるとか、一人ではいかないとか。当然、そうした山歩きの基本は守っていただくとして。山探索で一番危険なのは、思い込んでしまうことだと思うんです。聖なる岩を探していたとして、自分が見つけたものをそれだと思いこんでしまう。見つけるまでに苦労があると、どうしても都合のいいストーリーにしてしまいがちなんですが、思い込みと真実を混ぜてしまうことは不幸だし、悲しい結末に繋がってしまいます。常に自分を疑ってかかって客観的な検証を怠らないことは、とても大事な姿勢だと思っています」

おすすめの山

「それはもう、自分が気になった山です。山探索は山と人間とのつながりを探る遊びです。そして興味を持ったなら、自分はまちがいなく、その山と繋がっている人間のひとりです。山を介して、同じ山と関わりのあった遠い昔の誰かとつながる。それは、山と接するひとつの形だと思うんです。そうなったとき、歴史や文化の連続を調べて感じることができるのは、身近にある山じゃないでしょうか。遠い山であっても、調べて調べてなにかを確かめに行く、という喜びは成り立ちます。けれど、まずは気になったり調べたいなと思う近所の山こそが、山探索の入口にはふさわしいと思います」

これから始める人へ

「鳥や虫や植物に詳しい人は、どんな山を歩いても楽しいとおっしゃいます。山探索も同じです。なにかしらの人間の営みの跡を見つけてしまうと、好奇心のスイッチが入るんです。とはいえ、考証を進めるには調査や検証が必要になります。山探索は好奇心を事実に添わせながら、発見と理解の喜びを重ねていくプロセスの遊びです。焦ることなく気長に取り組んでほしいと思います。それと同時に、山探索は人との関わりがカギになってきます。山について深く知ることは、山に関わっている人たちと深く付き合っていくことです。そうした関わりのなかで、豊かな人間関係を築いていくことも楽しんでほしいと思います」

PICK UPITEMS

  • BREATHEBARRIER MULTI COMPO JKT

    濡れに強いウインドシェルを、シャツ・フード・アームカバーに分割。気温や天候といった気象条件のほか、行動様式に合わせてその場その場でカスタマイズできる柔軟性の高さが魅力。

    BREATHEBARRIERMULTI COMPO JKT

    ブリーズバリヤー マルチ コンポ ジャケット

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  • BREATHEBARRIER MULTI COMPO ARM COVER

    BREATHEBARRIERMULTI COMPO ARM COVER

    ブリーズバリヤー マルチ コンポ アーム カバー

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  • BREATHEBARRIER MULTI COMPO HOOD

    BREATHEBARRIERMULTI COMPO HOOD

    ブリーズバリヤー マルチ コンポ フード

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  • EXP 26

    容量だけでなく、日常やビジネス、ショートトリップといった具体的な使いみちを想定。それぞれのシーンに沿った機能性を搭載しながら、フィールドでの使い勝手も備えた。

    EXP 26

    イーエックスピー 26

    ご購入ページへ

小雨程度なら全然平気なので、もしもの時の薄いジャケットとしてザックの中に入れています。なによりムレにくいので、着ていて快適なのが嬉しいです。汗をかいてもすぐ乾くし、着てて気持ちいいし。走ってるときはもちろん、私は農作業のお手伝いのときも愛用してます。アンダーウェア一枚で、快適さがこんなに違うんだ、ってびっくりしてます。

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