これからの登山シーズンを安全に楽しんでもらうために...
国際山岳医が語る、ドライナミックメッシュが夏山に有効な理由
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夏山で怖いのは、「風」と「濡れ」。
この二つが重なることで低体温症のリスクが高まる。 「濡れ」の要因は、雨などの外からのものもあるが、軽視できないのは「汗」による内側からの濡れだ。 樹林帯で汗をかいて森林限界を超えて風に吹かれれば、急に体温を奪われることになる。 最近はいろいろな速乾性の肌着が開発されているが、このドライナミックメッシュは網の目が粗くボリューム(厚さ)があるので、汗などの水分を次のレイヤーに送り出した後にまとわりつく感じがない。しっかりと空気の層が保たれている印象だ。 先日、中学生のトレイルランの救護活動で低山に登ったときも、登山口からの樹林帯では帽子のつばから汗が滴になって落ちるほどに汗をかいてしまったが、体幹部(胸・腹・背中)が「濡れ」を感じることはなかった。逆に、ふと背中を触ったときに、服がびしょびしょなので驚いたほどだ。 その後、標高2000メートルほどの笹原のゴール地点で3時間ほど待機することになったが、汗冷えすることもなく快適だった。
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2015年、噴火翌年の夏に行方不明者再捜索活動に同行して山頂に上がった時
プロフィール:
国際山岳医 千島康稔
2016年3月まで松本市相澤病院に勤務。退職後、フリーランスの山岳医・登山ガイドとして、医療従事者と登山の専門家と両方の視点で、安全・安心な登山をサポート。年間、7-8回の学校登山や各種団体登山への付き添いを行なうとともに、安全登山のための各種講習会講師を務めている。
日本登山医学会認定国際山岳医、日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージII、救急科専門医、形成外科専門医