8月、人間にとっては夏休みで、夏真っ盛りですが、野鳥たちにとってはもう秋。野鳥たちは秋の渡りがはじまります。
8月、9月は、干潟に行ってみましょう。
東京湾では三番瀬が、九州では有明海の干潟が有名ですが、大きめの河川の河口に行くと干潟があります。
干潟とは、傾斜が浅く、満潮時は海面下にあり、干潮時になると海底が露出する場所です。
この時期、干潟は渡り鳥たちでにぎわいます。
シベリアなどで繁殖した鳥たちが、越冬のためにニュージーランドやオーストラリアに渡る旅の途中で日本に立ち寄るためです。
鳥たちは、たくさん餌を食べて、脂肪を蓄え、また渡りを続けていきます。日本の干潟は、高速道路のサービスエリアのような場所なのです。
■メダイチドリ
スズメより一回り大きいチドリです。繁殖期は、胸がオレンジ色になります。餌を狙って右に行ったと思ったら、急に方向転換し、左へ。酔っ払いが右に行ったり左に行ったりする様子は、チドリの餌の獲り方そっくり。「千鳥足」の由来になったといわれています。ゴカイというミミズのような生き物を加えて、引っ張り出す姿は、とても可愛く見えます。本人にとっては必死なのかもしれませんが・・・。
■キアシシギ
ハトより一回り小さく、身体はグレー、脚のみ黄色の地味な鳥です。
地味さとは裏腹に、干潟を走り回りながら、カニやゴカイを獲って食べます。
日本に渡ってきたときは、げっそり痩せていますが、しっかり餌を食べて、エネルギーとなる脂肪を蓄えます。
中には、日本にたどり着いたときの2倍くらいの体重になるものもいます。
■コサギ
サギの仲間は、干潟や河川、池など、水辺に行くと、必ずと言っていいほど目にする鳥です。
長い首と鋭い嘴を上手く使って、魚などを食べています。
サギの仲間は何種類かいますが、白いサギがいたら、足の指を見てください。
もし、黄色い指であれば、それはコサギです。
・まとめ
秋は、今年生まれた鳥たちにとって、初めての旅になります。
数千kmの渡りは、捕食者から追われ、台風に翻弄される過酷な道のりです。
旅の途中、残念ながら多くの命が消えていきます。
干潟に行って、そんな彼らの姿を少しだけ観察してみませんか。
■日本野鳥の会って、何やってるの?
「日本野鳥の会」という名前は知っているけど、何をやっている団体なのか知らない方がほとんどだと思います。実はこんなことをやっています。
東京港野鳥公園には、シギやチドリたちが旅の途中で立ち寄る干潟があります。
干潟には、ゴカイやカニ、アナジャコ、トビハゼなど、たくさんの生き物が生息し、多様性に富んでいます。
そんな生き物たちが身近にいることを、たくさんの生き物たちが暮らしていることを伝えるために、干潟の生き物の観察会を開催しています。
生き物の高い知識をもとに、分かりやすく、心に残るインタープリテーションをしています。
レンジャーは、日本野鳥の会の職員の中で、野外活動のエキスパートです。
調査、インタープリテーション(自然解説)、環境管理、それぞれ高い技術を持ちあわせています。
撮影:大久保明香(キアシシギ)、掛下尚一郎(メダイチドリ、コサギ)
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